第2章 国家試験の道しるべ

2-1 国家試験とは

  国家試験は、一般的に“一定水準の専門的技術を必要とする業務に就く者に対して行い、その合格者に資格を認め、又は一定の地位、活動について免許を与えるため、国の機関が管理して行う試験”といわれています。

  試験は、選抜試験と資格試験の二つに大きく分けられますが、国家試験はだいたいが資格試験となっています。つまり、選抜試験は学校の入学試験のように、募集人員がはじめから定められているので、成績順に合格者が決定されてしまい、仮に満点に近い点数であっても、満点の人が募集人員と同じ数以上であれば不合格となってしまいます。

  しかし、資格試験はある合格点以上を取りさえすれば、その全員に資格が与えられるわけで、身近な例として自動車の運転免許などが挙げられます。

  無線従事者国家試験は資格試験なのです。そして、この試験の受験資格にはいっさいの制限がありません。国籍、学歴、年令、性別に関係なく、誰でもが自由に受験できることが特徴となっています。

2-2 試験を実施する機関及び時期

  無線従事者国家試験は、総務大臣から指定試験機関として指定された公益財団法人日本無線協会(以下「協会」といいます。)が実施しています(法46条)。試験は、主に協会本部及び支部事務所のある所在地(協会所在地一覧は総合通信局等の管轄地域と所在地一覧に掲載)を試験地として、各資格とも年二回以上実施しています。試験の実施時期は概ね以下のとおりであり、試験日程等の詳細についてはこちらをご覧ください。なお、CBT試験(後述の試験方法参照)については、都道府県庁所在地はじめ全国の主要都市約300か所においてほぼ通年で実施されています。


2-3 試験実施のお知らせ

協会では、毎年度当初に、その年度において実施される試験の期日、時間割などのスケジュールをはじめ、試験地、受験申請の受付期間、注意事項など試験実施に関する試験案内をホームページに掲載し、周知を図っています。また、受付期間が近づいてきた試験申請については、最新情報として、その都度受付開始日等をホームページにて周知しています。受験する資格によって試験の実施時期や受付期間などが異なるので、必ず確認しておきましょう。

2-4 試験科目とその内容

  それぞれの資格ごとの試験科目とその内容を別表(付録2 資格別の試験科目と内容)にまとめました。(無線従事者規則第5条)

  なお、当然のことですが、各試験科目の試験の出題については、「電波法施行令第3条に定める当該無線従事者の資格を有する者の行い、又はその監督を行うことができる無線設備の範囲を考慮して行うものとする」とされています。(無線従事者規則第5条2項)

●問題の形式

① 三海特を除く各資格の試験(電気通信術を除く)は多肢選択式
② 三海特は正誤式

●多肢選択式の方法

多肢選択式には、次に掲げる内容のものがあります。これらを組み合わせたものが、設問として出題されます。
① 択一式:問題とともに、複数の解答を選択肢として示しておき、その中から正解の1肢を選ばせるもの
② 補完式:問題の文、または句に空欄を設けるとともに、空欄の数を上回る語句を示しておき、その中から各空欄にそれぞれ当てはまる語句を1肢ずつ選ばせるもの
③ 正誤式:問題として複数の文、または句を示しておき、それぞれの正誤を問うもの

●解答方法

  試験問題の出題方法を多肢選択式としていることから、解答はマークシート方式になっています。これは、試験問題の答として複数の選択肢が掲げられ、その中から正答と思われるもの一つを選び、マークシートの該当する選択肢の番号を塗りつぶす方法です。一問につき正答は一つとなっていて、二つ以上を選択し、マークした場合、どちらかに正答が含まれていても得点できませんので、注意が必要です。

  なお、電気通信術については、第5章「5-3 電気通信術」のところを参考にしてください。

2-5 試験の方法

  試験の方法は、電気通信術(電鍵操作や電話の送受話等)は試験執行員を相手に実地により試験を行いますが、そのほかの無線工学や法規など学科の試験については筆記の方法又は資格によっては電子計算機その他の機器を使用する方法(*)により行われています。 なお、目の見えない方の三陸特、三・四アマの試験には口述試験、一・二アマの試験には点字による試験が行われています。


  *令和3年度より二・三陸特及び三・四アマの資格が、また、令和4年度には二・三海特の資格が電子計算機を利用した方法(CBT試験:Computer Based Testing)による試験で行われています。この試験はパソコン上に出題された多肢選択式の試験問題について、正答と思われる解答肢を選びクリックして回答する方法で行われています。CBT試験についてはこちらをご覧ください。)