無線従事者国家試験には、試験科目に対する試験免除の制度があります。それは、
です。この特典制度を十分に知って活用し、これに基づいて受験計画を立てると、科目別の勉強に集中できて好結果が生まれるかと思われます。なお、これらの免除を受けようとする場合には、試験申請の際にその旨を登録(申請)しなければなりません。また、添付書類を必要とする場合もありますので注意してください。
総合・海上・航空の無線通信士及び陸上無線技術士の10資格の国家試験においては科目合格が認められており、合格点を取った科目は3年間は合格点の効果が生きていることとなっています。したがって、その期間は他の受験科目にエネルギーを集中して勉強すればよいこととなります。
免除期間の起算は、合格科目の試験の行われた月の翌月の初めからとなっています。(無線従事者規則第6条第1項)
なお、この免除は、科目合格した資格の試験を受ける場合に限られます。下位の資格であっても、異なる資格には認められません。ただし、電気通信術については、後述のとおり下位の資格を受験する場合にも免除が認められています。
次表の左欄に掲げる資格の電気通信術に合格した人は、その電気通信術の試験の行われた月の翌月の初めから3年以内に、右欄に掲げる資格の試験を受ける場合において、その電気通信術の試験が免除されます。(無線従事者規則第6条2項)
全国各地にある学校やそのほかの教育施設の中には、電波や通信に関係ある教育を行うところが多数あり、このうち総務大臣の認定を受けた学校等を卒業した人が国家試験を受ける場合は、その受験者が申請すれば、無線工学の基礎、電気通信術、英語の試験のうち、その一部または全部が免除されます。ただし、その免除される期間は、卒業の日から数えて3年以内に限られます。(無線従事者規則第7条)(国家試験の一部免除認定校に掲載)
また、卒業直前に行われる試験を受ける場合は、特別に卒業者と同じように免除されることがありますが、その場合は卒業後15日以内に卒業証明書と科目履修証明書を提出する必要があります。
すでに一定の無線従事者の資格を持っている人が、ほかの種類の資格の試験を受ける場合は、一部の科目の試験が免除されます。(無線従事者規則第8条第1項)
この場合、あくまでほかの種類の資格、つまり無線通信士が無線技術士の試験を受ける場合(その逆の場合もあります)に活用されるものですが、前述までの免除の場合とは異なって、免除の期間は無制限です。その免除の区分は下記の表のとおりです。
例えば、三総通の試験を受験する場合、一般的には①無線工学の基礎、②無線工学、③法規、④英語及び⑤電気通信術の五科目を受けることとなりますが、一陸技の資格保有者がこの三総通の試験を受験しようとする場合には、表にあるとおり無線工学関係の二科目が免除され、①法規、②英語及び③電気通信術の三科目を受験すればよいことになるわけです。
無線従事者として一定の期間、無線局に勤めて無線設備の操作を行った経歴のある人が、現在の資格より上位の資格の試験を受けようとする場合の特典で、実務経験によって知識技能がまず向上していると見られる科目の試験が免除されます。(無線従事者規則第8条第2項)
この場合の業務経歴の証明は、原則として無線局の免許人が証明しなければなりませんが、これに準ずる者でもよいことになっています。この免除科目は下記の表のとおりです。
これらの資格者証を持っている人が、無線従事者国家試験を受ける場合は、一部の科目の試験が免除されます。その免除の区分は下記の表のとおりです。(無線従事者規則第8条第3項)
以上述べてきたのは、国家試験の免除に主眼を置いたものでしたが、国が行う試験とは若干異なった道を通って無線従事者の資格を取得することもできます。
航空通、三海通、四海通、特殊無線技士(9資格のすべて)、二アマ、三アマ及び四アマの資格については、総務大臣が認定するその資格ごとの養成課程の講習を受けることによって、それが果たされます。講習は、(公財)日本無線協会(TEL:03-3533-6027)が航空通、三海通、四海通及び特殊無線技士について、(一財)日本アマチュア無線振興協会(JARD、TEL:03-3910-7210)が二アマ、三アマ及び四アマについて開催しています。また、近年は民間の団体においても養成課程講習が開催されています。
当会でもeラーニングによる三陸特 養成課程を実施しています。
また、養成課程とは異なりますが一陸技 eラーニング講座もございます。インターネット環境があればご都合に合わせていつでもどこでも学習ができます。
学校が無線通信に関する科目を開設しており、その科目の教育課程が無線従事者の養成課程に適合しているとして総務大臣の認定(無線従事者規則第21条2項)を受けている場合、その科目の履修を修了後、養成課程修了者として一定の資格の免許申請を行うことができます。(電波法第41条2項2号)
学校で行われる授業科目が無線通信に関する科目に適合しているとして総務大臣の確認(無線従事者規則第31条1項)を受けている場合、その科目を履修して卒業後、学校卒業者として一定の資格の免許申請を行うことができます。(電波法第41条2項3号)
該当する学校の学部・学科と申請可能な資格については、総務省の電波利用ホームページに情報が公開されています。また、長期型養成課程認定校については、長期型養成課程認定校にまとめてあります。
なお、詳しくは該当する学校にお問い合わせください。
①無線従事者免許申請書
資格ごとにそれぞれ必要になります。したがって、2資格の申請をする場合は2通必要になります。申請書には写真が1枚、申請手数料(収入印紙)が資格に関係なく一律1,750円分必要です。
申請書は、(一財)情報通信振興会で通信販売しています。
(一財)情報通信振興会
〒 170-8480 東京都豊島区駒込2-3-10
電話:03-3940-3951 URL:https://www.dsk.or.jp/
②卒業証明書
③科目履修証明書(成績証明書)
④履修内容証明書(履修した無線通信に関する科目の内容が記入されたもの。)
卒業した学校が科目内容の確認手続きを行っている場合は、履修内容証明書の提出は、不要です。
⑤氏名及び生年月日を証する書類
この書類には、戸籍個人事項証明書(戸籍抄本)、住民票の写し(マイナンバーの記載されていないもの)、印鑑登録証明書、外国人登録済証明書などがあります(コピー不可)。
なお、申請書に住民票コードまたは現に有する無線従事者免許証、電気通信主任技術者資格者証もしくは工事担任者資格者証の番号のうちいずれか一つを記載した場合、この書類の提出は不要です。
⑥免許証送付用封筒
免許証が入る大きさの封筒(定形)に、返信用の切手(免許証2部程度までであれば84円分)を貼り、送付先の住所、氏名等を記入したもの。
(注)医師の診断書は原則不要ですが、総務大臣または総合通信局長から特に指示があった場合には、必要となります。
上記の申請書と証明書類をまとめて、学校の所在地を管轄する総合通信局等へ郵送、または持参してください。なお、自分の住所地を管轄する総合通信局等へ提出することもできます。(総合通信局等の管轄地域と所在地一覧参照)
いままでに説明したものとは異なりますが、無線従事者として無線設備の操作に従事した経歴があって、かつ、総務大臣の認定する講習課程を修了し、国家試験に合格した者等と同等以上の知識及び技能を有すると総務大臣から認められた人は、現有資格より一つ上位の資格が免許申請できることとなっています。(電波法第41条2項4号、無線従事者規則第33条)
この認定講習課程は、(公財)日本無線協会が実施しておりますので、その詳細は同協会にお問い合わせください。(総合通信局等の管轄地域と所在地一覧参照)
試験科目の免除を組み合わせた結果、すべての科目が免除となる場合は、随時、(公財)日本無線協会に全科目免除による合格証明願を提出します。
提出に必要な合格証明願用紙と添付書類用紙は、日本無線協会のホームページからダウンロードできます。郵便で請求するときは、該当する資格名を明記の上、84円切手を貼った返信用封筒を同封して日本無線協会の事務所に請求してください。(総合通信局等の管轄地域と所在地一覧参照)
提出用紙に必要事項を記入し、認定学校卒業や業務経歴などの証明書がある場合はその証明書を添付して、一式を日本無線協会に提出してください。
合格証明願の内容が免許要件を満たしていることが確認されると、日本無線協会から合格証明書が交付されるので、それをもって該当する資格の免許申請を行うことができます。