5-3 電気通信術
●電気通信術
電気通信術の試験については、無線従事者規則第3条に基づき試験の方法が告示されており、試験を実施している協会においてもこの告示に基づいて試験を行っています。試験は、モールス電信による送・受信、電話の送・受話及び直接印刷電信による送信の三つの試験項目があり、受験する資格によって課される試験項目が異なっています。
なお、モールス電信による送・受信は、無線局運用規則の別表第一号に定める和文及び欧文のモールス符号を使用し、電話の送・受話は、同別表第五号に定める欧文通話表によって試験が行われます。
1 試験方法と試験対象資格
① モールス電信による送・受信
モールス符号を使用し、電鍵(キー)操作により電文の送信を行い、また音響にしたモールス符号を文字として受信用紙に書き留める方法で受信を行うこととなっています。受信の試験は同じ試験室の受験者に対して一斉に行われます。送信の試験は試験員と個々の受験者が対面して行われます。一・二・三総通及び国内電の資格が対象です。
② 電話
欧文通話表を使用して電話の送・受話を行うこととなっています。受話の試験は受験者に対して一斉に行われ、送話の試験は試験員と個々の受験者が対面して行われます。一・二総通、一・二・三海通、航空通、一海特及び航空特の資格が対象です。
③ 直接印刷電信
試験問題として示される電文(欧文)を試験機器(パソコン)のキーボード操作により入力(送信)する方法で行うこととなっています。試験は個々の受験者の試験卓に試験員が同席する形で行われます。一総通及び一・二・三海通が対象です。
2 試験の実施順序
試験の実施順序については、実際に試験を行っている協会本部での実施例をみてみたいと思います。
① 一・二・三総通の場合
モールス電信の受信、電話の受話(三総通を除く。)の試験を行った後、一総通のみ直接印刷電信の送信の試験が行われます。その後、モールス電信の送信及び電話の送話(三総通を除く。)の試験が行われます。
② 一・二・三海通の場合
電話の受話の試験を行った後、直接印刷電信の送信の試験が行われます。その後、電話の送話の試験が行われます。
③ 航空通、一海特及び航空特の場合
航空通の場合は、電話の受話の試験に引き続き送話の試験が行われますが、一海特や航空特においては受話試験の後に工学、法規等の学科試験が行われ、その後に電話の送話の試験が実施されます。
④ 国内電の場合
上述③と同様、モールス電信の受信の試験の後、法規の学科試験が行われ、その後にモールス電信の送信の試験が行われます。
3 試験に際しての注意事項等
(1) 受信・受話試験
- 配布された受信・受話用紙には、練習用紙を除いて、用紙下部における資格、受験番号及び氏名の各欄へ記入を行ってください。受信用紙は複数枚配布されますので、全ての用紙に記入してください。記入には鉛筆、ボールペン、万年筆などの使用ができますが、赤色のものは使用できません。
- 試験前に使用するCD再生機を使って音量調整などの受信・受話状況の確認が行われます。聞きづらい、音が小さい等気になることがあれば試験員へ申し出て改善等を求めることができます。
- 試験方法、答案の書き方などについて、予め試験員から説明がありますが、不明な点についてはその都度試験員に尋ねましょう。試験開始後は一切の質問等は受け付けてもらえませんので、試験前に不明点など解消しておきましょう。
- スマホ、携帯電話等の音を発するものの電源は必ずOFF(断)にし、カバンなど荷物の中に収納しておきましょう。試験中は、アラーム音やバイブの振動音のような小さな音であっても試験への集中力を削ぐだけでなく、周りの受験者への大きな迷惑となります。
- 受信の試験では、先ず練習文が再生され、引き続き試験問題が再生されてきます。それぞれ「レンシュウ」や「シケン」の符号の後、和文や欧文など電文の種類についても前置されますので、使用する受信用紙を間違えないよう注意しましょう。なお、電話の受話の場合は、練習用紙の配布はありませんので、練習文はただ聞き流すだけにしてください。
- 試験中は、他の受験者の迷惑となるような行動、発声などは絶対にしないでください。
- 受信の電文は複数通あります。受信用紙の記載面に書ききれない場合は、裏面などに記載することもできます。
- 試験終了後、一定時間をおいた後、試験員から筆記具を置くよう指示がありますので、直ちにその指示に従ってください。受信用紙は白紙のものを含めすべて提出してください。
(2) 送信・送話試験
- 送信・送話試験についても、試験開始後は試験員への質問は一切受け付けてもらえませんので、試験方法等不明なことは事前に試験員に尋ねておきましょう。
- モールス送信の試験では、協会が用意した電鍵を使用することになっていますが、自分で持ち込んだ電鍵の使用も認められています。その場合、予め試験員に申し出て、使用する電鍵の機能(例:一の動作で自動的に符号を生成、送出する機能があるか)、オシレータへの接続の可否などの点検、確認を受ける必要があります。試験当日に慌てないよう、事前に協会へ照会し、使用の可否について確認をとっておいた方がいいでしょう。
- 試験は協会が用意する試験用機器の故障などがない限り中断できません。自己都合による中断は認められないので、持ち込んで使用する電鍵については常に最適な動作をするよう日頃から調整しておいた方がいいでしょう。
- 直接印刷電信の送信の試験は、協会が用意した試験用機器(パソコン)を使用し、キーボード操作により試験問題(電文)を打込み(送信)していく方法で行われますので、試験で使用する文字や数字等のキー以外の他のキー操作はしないよう注意してください。試験前に練習したい場合は、試験員に申し出れば可能です。
モールス電信送話の試験のイメージ
直接印刷電信の試験で使用されるパソコン